個人情報の取扱い・SNS投稿に関する誓約書(従業者・登録者・協力者向け)

個人情報、秘密情報、投稿を一つの定義にまとめると、何に違反したのかが決まらず、守る側も戸惑います。守らせる対象を三つに分け、具体的な行為の名前で書き、報告の手順まで置きます。

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「顔が写っていないから投稿してよい」とは限りません。他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるときは、個人情報に当たります(個人情報保護法2条1項1号)。

このページの要点

  • 守らせる対象は、個人情報・秘密情報・投稿の三つに分ける。個人情報は公開されていても個人情報で、営業秘密は公然と知られれば保護が外れる(不正競争防止法2条6項)。
  • 撮影・録音・持出し・私物端末・外部のオンラインサービス(生成AIを含む)への入力は、禁止する行為・対象の情報・例外の手続を特定して書く。
  • 投稿の条項は「一切の投稿を禁止」とせず、顧客が識別できる情報、秘密として管理する情報、事実に反する内容に絞る。法令に基づく開示や自分自身の情報などの例外を置く。
  • 違反や事故に気づいたときの報告窓口、拡大防止、記録の保全、報告者を責めない定めを書く。事業者側は漏えい等の報告・通知の要否を確認する(個人情報保護法26条)。

結論:守らせる対象を「個人情報」「秘密情報」「投稿」の三つに分けて書く

従業者、登録者、協力者に個人情報とSNS投稿について誓約させるとき、書面が「業務上知り得た一切の情報を、SNSを含め、一切外部に出さない」と一括りになっていることがよくあります。短くて強い書き方に見えますが、守らせたいものが混ざっているため、何に違反したのかが決められず、守る側も何を気をつければよいのか分かりません。出発点は、守らせる対象を三つに分けることです。

  1. 個人情報:お客様や利用者など、特定の個人を識別できる情報です。公開されている情報であっても、個人情報であることに変わりはなく、事業者には法律上の取扱いの義務があります。
  2. 秘密情報:価格体系、手順、ノウハウ、取引条件など、事業者が秘密として管理している情報です。秘密にしているかどうかが問われ、管理が緩いと保護が弱まります。
  3. 投稿:SNS、口コミサイト、ブログ、掲示板などへの書き込みです。情報の種類ではなく、行為の種類で区切る点が、前の二つと違います。

この三つは重なりますが、重なり方が一定ではありません。お客様の写真は個人情報であり、同時に事業者の秘密情報でもあり、投稿の対象にもなります。しかし、事業者が公表した料金表は、秘密情報ではありませんが、投稿するときに誤解を招く書き方をすれば、別の問題を生みます。書面を三つの軸で組み立てると、どの条項が何を守るのかが明確になります。

このページは、個人情報の取扱いとSNS・口コミ投稿に絞った誓約書を扱います。対象は、雇用か委託かを問わず、事業者の個人情報や情報に触れる従業者、登録者、協力者です。就業規則や懲戒といった雇用上の運用には立ち入らず、書面の組み立てに絞ります。稼働の開始時に全体として取る誓約書は業務委託・協力者の稼働開始時の誓約書、契約が終わるときの返却・削除の確認は契約終了時の誓約書・確認書、重すぎる包括条項の見分け方は重すぎる誓約書の見分け方と直し方で取り上げています。

個人情報と秘密情報は、別の物差しで書く

個人情報と秘密情報を同じ定義の中に押し込む書き方は、解釈の混乱のもとになります。両者は、保護の根拠と、保護が及ぶ条件が違うからです。

個人情報と秘密情報の違い

比べる点個人情報秘密情報(営業秘密)
根拠となる法律個人情報保護法。「個人情報」とは、生存する個人に関する情報で、氏名などの記述により特定の個人を識別できるものなどをいう(同法2条1項)。不正競争防止法。「営業秘密」とは、秘密として管理されている、事業活動に有用な技術上・営業上の情報で、公然と知られていないものをいう(同法2条6項)。
公開されている場合公開されていても個人情報であり続ける。取得や利用の目的、提供の制限は、なお問題になる。公然と知られた情報は営業秘密に当たらない。公開されれば保護は外れる。
管理が緩い場合取扱いの義務は、管理の程度に関係なく事業者に残る。秘密として管理されていなければ、営業秘密として扱われない。
誓約書で書くべきこと取扱いの範囲、目的外の利用の禁止、持出し・複製の制限、事故の報告。秘密である旨の表示、範囲の特定、開示先の制限、返却・削除。

営業秘密を保有する事業者から秘密を示された者が、不正の利益を得る目的や損害を加える目的でそれを使用・開示する行為は、不正競争に当たるとされています(不正競争防止法2条1項7号)。ただし、この規定が働くのは、情報が営業秘密の要件を満たすときです。お客様の個人情報が、営業秘密の要件を満たすのかどうかを、誓約書で一律に決めつけることはできません。そのため、個人情報を守る条項は、営業秘密の定義に頼らず、個人情報として独立に書くのが安全です。

事業者の義務と、誓約書の役割

個人データを取り扱う事業者には、法律上の義務が課されています。個人情報保護法は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講ずること(23条)、従業者に個人データを取り扱わせるときに必要かつ適切な監督を行うこと(24条)、個人データの取扱いを委託するときに委託先を必要かつ適切に監督すること(25条)を定めています。さらに、個人データの漏えい等で個人の権利利益を害するおそれが大きいものが生じたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります(26条)。

協力者に誓約書を取る目的の一つは、事業者がこれらの義務を果たす手段を整えることにあります。ここで、24条の「従業者」と25条の「委託先」のどちらの規律に当たるかは、協力者の関わり方の実態によって変わり、一律には決められません。条文と個人情報保護委員会のガイドラインで確認が必要です。どちらに当たる場合でも、誓約書は次の役割を担います。

  • 取り扱ってよい範囲と、してはならない行為を、協力者に具体的に示す。
  • 事故や違反の疑いに気づいたとき、どこに、どの手順で報告するかを決める。
  • 業務の終了や契約の終了のときに、情報をどう返却・削除するかを決める。

誓約書は、事業者の義務を協力者に転嫁する書面ではありません。事業者の側に残る義務(管理体制の整備、教育、報告を受ける窓口)があり、書面の内容が実際の運用と合っていないと、書面だけが厳しい形になります。誓約書に書くことは、事業者が実際に整える体制とそろえます。

撮影・録音・持出し・私物端末・クラウドの条項

現代の情報の事故は、悪意の持出しよりも、善意の操作から起きることが多くあります。「あとで見返すために」画面を撮影する、「確認のために」私物のスマートフォンに転送する、「議事録のために」会話を録音する、といった行為です。条項では、禁止する行為と、例外として認める行為を、具体的な行為の名前で書き分けます。

書き方の例(一般的な例) 撮影・持出しの条項

禁止の範囲

△ よくある書き方業務上知り得た情報を、いかなる方法でも複製、撮影、録音、持出しをしてはならない。
○ 整えた書き方業務で取り扱う顧客の個人情報について、事業者が定めた端末と保存先以外への保存、画面の撮影、録音、メッセージアプリやメールでの送信をしてはならない。事業者が書面(電子メールを含む)で認めた場合はこの限りでない。

理由「いかなる方法」では業務そのものができなくなる。禁止する行為、対象の情報、例外の手続を特定する。

私物端末

△ よくある書き方私物の端末を業務に使用してはならない。
○ 整えた書き方私物の端末を業務に使用する場合は、あらかじめ事業者の承認を得るものとし、画面ロックの設定と、業務データを端末内に残さない設定を行う。

理由禁止が現実に守れないと、無断利用が常態化する。使う場合の条件を決めておくほうが、実際の安全につながる。

外部サービスへの入力

△ よくある書き方外部のサービスに情報を入力してはならない。
○ 整えた書き方顧客の個人情報や事業者の秘密情報を、事業者の承認のない外部のオンラインサービス(文字起こしや要約を行う生成AIサービスを含む。)に入力してはならない。

理由入力した情報がサービス側でどう扱われるかによって、提供や委託に当たるかが変わる。サービスの規約と個人情報保護委員会の資料で確認が必要。

録音については、会話の相手の同意の有無、録音の目的、保存の方法が問題になります。業務上の録音を一律に禁じるより、録音してよい場面と、してはならない場面を分け、録音したデータの保存先と削除の期限を決める方が、実態に合います。会話の録音の扱いは、受講生・利用者・登録者に誓約書を取るときでも、規約との役割分担と合わせて整理しています。

撮影物は個人情報になるか

顧客の写真や動画は、顔が写っていなくても、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるときは、個人情報に当たります(個人情報保護法2条1項1号のかっこ書)。髪型、体の特徴、背景、日付、投稿者の他の発信などから特定できる場合があるため、「顔が写っていなければよい」という書き方は避けます。誓約書では、顧客が識別され得る画像・動画・音声を対象と明記し、本人の同意と事業者の承認を条件にします。

SNS・口コミ投稿の範囲:何を守り、何を封じすぎないか

SNSの投稿に関する条項は、「投稿を禁止する」書き方と、「投稿する内容を限定する」書き方に分かれます。禁止の書き方は一見分かりやすいものの、協力者が自分の仕事を紹介したり、一般的な感想を述べたりする行為まで含んでしまいます。投稿の条項は、守る対象と場面を特定して書きます。

投稿の場面別に見る、起きがちなことと防ぎ方

業務で撮影した顧客の写真

起きがちなこと善意の宣伝のつもりで、顧客が識別できる写真を、自分のアカウントに投稿する。

防ぎ方顧客の写真・動画・音声は、本人の同意と事業者の承認がない限り投稿しない、と対象を特定して書く。

業務の内部の様子

起きがちなこと手順や価格体系、他の協力者のことが分かる内容を、日常の投稿に混ぜてしまう。

防ぎ方秘密情報として管理している範囲を特定し、それに当たる情報は投稿しない、と書く。

事業者の宣伝や口コミ

起きがちなこと依頼を受けて、事業者の宣伝である旨を示さずに投稿し、利用者に事業者の発信と分からない。

防ぎ方依頼を受けた投稿は、広告であることが分かる表示を付ける。表示の仕方を事業者が指示する。

事業者や他者への批判

起きがちなこと感情的な投稿が、事実と異なる内容や、人の名誉を傷つける内容になる。

防ぎ方事実に反する内容や、他者の名誉・信用を損なう内容の投稿を控える、と目的を明示して書く。

事業者が協力者に口コミや紹介の投稿を依頼する場合、その投稿が広告であることが利用者に分かりにくいと、景品表示法の不当表示の問題になり得ます。同法5条3号は、一般消費者に誤認されるおそれがある表示のうち、内閣総理大臣が指定するものを禁じています。広告であることを隠した表示の具体的な扱いは、消費者庁の資料で確認が必要です。誓約書には、依頼を受けた投稿の表示のルールを入れておくと、運用が整います。

書き方の例(一般的な例) 投稿の条項

投稿の禁止

△ よくある書き方SNS、ブログ、口コミサイト等に、事業者に関する一切の投稿をしてはならない。
○ 整えた書き方SNS、ブログ、口コミサイト等に、次の内容を投稿してはならない。(1) 顧客が識別できる画像・動画・音声・氏名その他の情報、(2) 事業者が秘密として管理している情報、(3) 事実に反し、または他者の名誉・信用を損なう内容。

理由「事業者に関する一切」は、自分の仕事の紹介や正当な意見の表明まで含んでしまう。禁じる内容を三つ程度に特定する。

事業者の許可

△ よくある書き方投稿は全て事前に事業者の許可を得る。
○ 整えた書き方顧客に関わる投稿と、事業者の依頼による投稿については、事前に事業者の承認を得る。それ以外の投稿は承認を要しない。

理由全てに許可を要する書き方は、守られないか、守らせる運用が重くなる。許可が要る場面を絞る。

業務用のアカウントと私用のアカウントを分ける

投稿の条項が曖昧になる原因の一つは、業務で使うアカウントと私用のアカウントが区別されていないことです。事業者の公式アカウントに協力者が投稿する場合と、協力者が自分のアカウントで仕事の話をする場合では、事業者が管理できる範囲も、責任の所在も異なります。公式アカウントへの投稿は、事業者の指示と承認のもとで行うものとし、パスワードやログインの管理、退出時のアクセス権の取消しを決めます。協力者自身のアカウントについては、守らせる内容を、前の項目で特定した三つに絞ります。アカウントの種類ごとに条項を分けておくと、禁止と許可が重なり合うことを避けられます。

複数の依頼元を掛け持つ協力者の場合

業務委託先や登録者は、複数の事業者の仕事を並行して受けていることが少なくありません。そのため、ある事業者の誓約書が、他の事業者の仕事に必要な知識や、協力者自身の技能まで制約してしまうことがあります。守らせるのは、その事業者から預かった情報と、その事業者の顧客の情報であって、協力者が元から持っている知識や一般的な技能ではありません。誓約書の定義では、協力者が事前から持っていた情報、公知の情報、第三者から適法に取得した情報を、対象から外します。これは、秘密保持の条項で一般的に使われる除外の考え方です。

登録者が退会するとき

登録制のサービスでは、登録者が退会するときに、預かった情報と、登録の間に取得した画像や音声の扱いが問題になります。退会時に、情報の返却または削除を確認し、投稿済みのものについては、顧客が識別され得るものを削除してもらうという手順を決めておきます。削除の確認は、画面の記録や報告書面で行い、私物の端末やクラウドにある複製の扱いを含めて書きます。個人データについては、利用する必要がなくなったときに遅滞なく消去するよう努める、という事業者側の努力義務もあります(個人情報保護法22条)。

封じられない行為と、書き方の限界

誓約書で禁じる範囲を広く書いても、封じられない行為があります。条項が封じられない行為まで含んで書かれていると、その条項全体が過度なものと読まれ、書面の信用を落とします。また、公序良俗に反する法律行為は無効になるとされており(民法90条)、広すぎる禁止が、そのままの効力を認められない余地もあります。条項を書くときに意識しておく例外は、次のとおりです。

  • 法令に基づく開示:裁判所や行政機関から法令に基づく求めを受けた場合の開示。個人データの第三者提供の制限にも、法令に基づく場合の例外があります(個人情報保護法27条1項1号)。
  • 公益通報:公益通報者保護法の要件を満たす通報は、保護の対象になります。この法律で保護される公益通報者は、労働者、派遣労働者、役員などと条文に定められており(同法2条1項)、事業者は、保護される公益通報によって損害を受けたことを理由に、通報した者に賠償を請求できません(同法7条)。個人の協力者がこの法律の対象に含まれるかどうかは、条文で確認が必要です。
  • 自分自身に関する情報:協力者自身の個人情報や、自分の契約条件、報酬の額まで、一律に口外を禁じることはできないと考えるのが穏当です。
  • 公知の情報:すでに公になっている情報は、秘密情報の対象から外すのが通常です。

これらの例外は、条項の最後に一括して「ただし、次の場合を除く」と書いておくと、禁止の本体を読みやすくできます。例外を書くことは、事業者が違法な隠蔽を求めていないという意思表示にもなり、協力者の納得を得やすくなります。

違反に気づいたときの報告と、書面の例

誓約書で禁止を並べるだけでは、事故が起きたときの動きが決まりません。むしろ、気づいた人が早く報告できる設計にしておく方が、被害の拡大を防げます。報告した人を責める運用だと、報告が遅れ、事態が悪化します。書面には、報告の窓口、報告する内容、報告を理由に不利益を与えないことを書いておきます。

違反や事故に気づいたときの流れ

  1. 気づいた人が報告投稿、誤送信、紛失など、気づいた時点で、決められた窓口に報告する。原因を自分で調べ尽くしてからではなく、分かった範囲で第一報を出す。
  2. 拡大の防止投稿の削除、送信先への削除依頼、端末のロックなど、被害が広がらない措置を取る。事業者の指示に従う。
  3. 記録の保全投稿のURL、画面の記録、送信の履歴などを、削除する前に残しておく。
  4. 事業者側の判断事業者は、個人データの漏えい等に当たるかを確認し、報告や本人への通知が必要かを判断する(個人情報保護法26条)。
  5. 再発防止原因を確認し、手順や書面を見直す。見直しの内容を記録に残す。

報告をした人に対して、報告そのものを理由とした不利益な扱いをしない旨を、書面に書いておきます。

書面の例

個人情報の取扱い及びSNS投稿に関する誓約書(例)

〇〇 御中

  1. 私は、業務において取り扱う顧客等の個人情報(氏名、連絡先、画像、動画、音声その他の特定の個人を識別できる情報をいい、以下「本件個人情報」という。)を、業務の目的の範囲でのみ取り扱い、その目的以外に利用しません。
  2. 私は、本件個人情報を、貴社が定めた端末および保存先以外に保存せず、複製、画面の撮影、録音、外部への送信を行いません。貴社が書面(電子メールを含む。)で承認した場合は、承認された範囲で行います。
  3. 私は、貴社の承認のない外部のオンラインサービス(文字起こしや要約を行う生成AIサービスを含む。)に、本件個人情報および貴社が秘密として管理する情報を入力しません。
  4. 私は、SNS、ブログ、口コミサイト等に、本件個人情報、貴社が秘密として管理する情報、および事実に反しまたは他者の名誉もしくは信用を損なう内容を投稿しません。
  5. 私は、貴社の依頼を受けて宣伝または紹介の投稿をするときは、貴社の指示する方法で、広告であることが分かる表示をします。
  6. 前各条の定めは、法令に基づき開示を求められた場合、法令の要件を満たす通報を行う場合、私自身に関する情報を取り扱う場合、およびすでに公になっている情報を取り扱う場合には、適用しません。
  7. 私は、本件個人情報の漏えい、紛失、無断の投稿その他これらのおそれに気づいたときは、直ちに貴社の定める窓口に報告し、貴社の指示に従って拡大の防止と記録の保全に努めます。貴社は、報告したことを理由として私に不利益な取扱いをしません。
  8. 私は、契約の終了または貴社の求めがあったときは、本件個人情報を、貴社の指示に従って返却または削除し、その旨を貴社に報告します。
  9. 本誓約書に定めのない事項および本誓約書の解釈に疑義が生じた場合は、貴社と私は誠実に協議します。

年 月 日

住所

氏名

一般的な構成の一例です。賠償額の予定や違約金は置いていません。置くかどうかの整理は、別のページで扱います。

書面の例には、違約金や賠償額の予定を置いていません。誓約書は、行為の指針と報告の手順を共有する書面とし、違約金や保証人を付けるときの限界は、念書に違約金・保証人・差押えの承諾を入れるときで取り上げています。

署名の前の点検と、起きがちなこと

確認の問い個人情報・SNSの誓約書を出す前の問い

  1. 守らせる対象は、個人情報・秘密情報・投稿に分かれているか。

    理由一括りの定義は、何に違反したのかを決められなくする。

  2. 禁止する行為は、具体的な行為の名前で書かれているか。

    理由「いかなる方法でも」「一切の」は、業務そのものを止めかねない。

  3. 例外(法令に基づく開示、公益通報、自分自身の情報、公知の情報)が書かれているか。

    理由封じられない行為を含む条項は、書面の信用を落とす。

  4. 気づいたときの報告の窓口と、報告した人を責めない定めがあるか。

    理由報告が遅れるほど、被害は広がる。

  5. 書面の内容は、実際に整えた管理の体制と合っているか。

    理由書面だけが厳しくても、運用が伴わなければ守られない。

起きがちなこと

  • 個人情報、秘密情報、投稿が一つの定義にまとめられ、何に違反したのかが決められない。
  • 「SNSへの一切の投稿を禁止」と書いたため、自分の仕事の紹介まで違反になり、書面が現実に守られなくなった。
  • 顔が写っていない写真だから大丈夫と考えて投稿したが、背景や他の情報から顧客が特定された。
  • 私物の端末の利用を禁じたのに、実際は私物の端末で連絡が行われ、事故の後に禁止の書面だけが残っていた。
  • 気づいても怒られるのを恐れて報告が遅れ、投稿が広がってから発覚した。

署名の取り方や、署名後に内容を変えたくなったときの扱いは、誓約書に署名してもらう手順と誓約書のトラブルとよくある質問にまとめています。

よくあるご質問

個人情報と秘密情報は、誓約書で別々に定義する必要がありますか?

別々に定義するほうが、解釈の混乱を避けられます。個人情報は、特定の個人を識別できる情報として個人情報保護法で定義され(同法2条1項)、公開されていても個人情報です。営業秘密は、秘密として管理されている有用で公然と知られていない情報で(不正競争防止法2条6項)、公開されれば保護が外れます。保護の根拠と条件が違うため、条項を分けます。

SNSへの投稿を全面的に禁止する書き方は有効ですか?

全面的な禁止は、協力者自身の仕事の紹介や正当な意見の表明まで含んでしまい、過度と読まれるおそれがあります。公序良俗に反する法律行為は無効とされる(民法90条)ため、広すぎる禁止はそのままの効力を認められない余地があります。顧客が識別できる情報、秘密として管理する情報、事実に反する内容など、禁じる内容を特定して書くほうが、実際に機能します。

顔が写っていない顧客の写真なら、投稿しても問題ありませんか?

顔が写っていなくても、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるときは、個人情報に当たります(個人情報保護法2条1項1号)。髪型、体の特徴、背景、日付、他の投稿などから特定される場合があります。誓約書では、顧客が識別され得る画像・動画・音声を対象とし、本人の同意と事業者の承認を条件にする書き方が一般的です。

私物の端末で業務の連絡をしてもよいですか?

私物の端末の利用を一律に禁止するか、条件付きで認めるかは、事業者の運用の選択です。禁止した場合でも現実に使われているなら、禁止だけの書面は守られません。使う場合の条件(承認、画面ロック、業務データを端末内に残さない設定、退出時の削除)を書面に決めておくほうが、実際の安全につながります。

違反に気づいたとき、まず何をすればよいですか?

決められた窓口に、分かった範囲で第一報を出します。投稿の削除や端末のロックなど、被害の拡大を防ぐ措置を、事業者の指示に従って取ります。削除する前に、URLや画面などの記録を残しておきます。事業者側は、個人データの漏えい等に当たるときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要かを確認します(個人情報保護法26条)。

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